Appleの整合性

前のエントリーで、MacのIntelチップ採用にまつわる話を書いたので、それに関連する話。
むしろこっちの方がいいたいことだけど、もし前のエントリーが未読の方がいれば是非先によんでください。
晴れて1月10日にIntel製チップ搭載のMacが発表されたとしますが、その場合どれくらいメリットがあるのか考えてみました。
今回の新パソコンはIntel製ですから、従来発売されてきたOSやアプリケーションはそのままでは使えなくなります。どうするかと言うと、「Rosetta」と言う商標のいわゆるエミュレーターのようなソフトを提供することになっています。
つまり、アプリケーションの動作を直接CPUに命令するのではなく、IBM製用の命令文を一部Intel製の命令文に自動変換してくれるソフトの上で動かすと言うことで、間接的にCPUに命令をすることになります。
昨年6月のIntelチップしようの発表時では、MicrosoftとAdobeはAppleのIntelチップ採用に合わせてサポートを約束はしたが、現在までに判明している限りでは、Adobe製のPhotoshopやIllustratorなどのMacユーザーが非常に多いソフトではネイティブサポートはしないようだ。つまり、どんなに高速なIntelチップを搭載したパソコンが発表されても、それをフルに活用できるソフトはないことになる。
さらにもう一つ大きな壁は、Macユーザーのうち現行のMacOSXを利用しているユーザーの割合はあまり多くないと言うこと。Macはずいぶん前のエントリーで書いたとおり、フォントやカラー再現の正確性が売りのため、デザインや印刷の現場で非常に多く使われている。しかし、現行のMacOSXはその前のOS、MacOS9とまったく互換性がないため、新しい環境にするためには印刷の現場ではフォントやアプリケーションを全て一から買いなおさなければならないのである。そのコストは非常に莫大な上に、それほどMacOSXを採用することに意義はないとされている。そんなこんなで、強いユーザーの支持を受ける印刷の現場で1世代前の、場合によっては4世代前とも考えられるOSを使い続けており、IntelのCPU搭載を発表しても、それを使う人はあまりいないと考えてしまう。
とにかく基盤だけ作ってしまえば、周りのことは後からついてくると言う考え方にしてはちょっと先の見通しがつかなすぎる。
さらに、もうひとつAdobeは今日新しい画像処理ソフトのベータ版を発表した。「Lightroom」である。これはAppleが9月に発売した「Aperture」と言う画像処理ソフトの対抗版として位置づけられている。Adobeには昔からPhotoshopという画像処理ソフトがあり、プロのカメラマンやデザイナーの中では最も一般的な画像処理ソフトとして定評がある。そこへAppleはRAW画像の処理を専門におこなう同ソフトを導入してきた。RAW画像とは一部の高級デジタルカメラに搭載されている画像保存形式の名前で、デジカメに入ってきた光をそのままなにも処理することなく保存したデータを言う。ちなみにJPEG画像はデジカメの内部で勝手に画像処理が施されているのだ。
このRAW画像は撮影後に明るさや色などの画像情報を広範囲に変更することが出来るため、プロのカメラマン必須のもの。この処理を専門に行うソフトなのだが、Adobeはいままで自分が培ってきたPhotoshopに搭載されている画像処理技術とは別に新しいソフトでAppleに対抗してきた。またAdobeは高額なPhotoshopの機能を限定した廉価版のEllementを発表しており、いまさらなぜRAW画像に特化したApple製品に対抗したのか理由が定かでないと思う。
AppleのIntelチップ採用に関連していろんな話に飛んでしまったが、Appleの出す製品はここのところかなり毎回度肝を抜かれるようなものばかりで面白いが、そのサービスやサポートの体制はやはりシェア10%に満たないパソコンメーカーといわざるを得ないところもある。
これから少しずつシェアを伸ばす中でいろいろな整合性をとっていってほしいと思う。
*Adobe Lightroom
http://www.adobe.com/jp/products/photoshop-lightroom.html
*Apple Aperture
http://www.apple.com/aperture/

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