【書籍】神の交渉力

神の交渉力

竹内一正『スティーブ・ジョブズー神の交渉力』リュウ・ブックスアステ新書 48(東京・経済界、2008)

米Apple社のCEOである、スティーブ・ジョブズ (Steve Jobs) のいままでの軌跡や数々のエピソードを追いながら、どうして人々から多くの求心力を得、奇跡とも思える売り上げをたたき出しているのか交渉というキーワードから探る本。

ビジネスにはルールがある。契約や約束を必ず守り、相手の信用を得ること。これは当たり前かもしれないけれど、あまりにこれらに縛られてしまうことが自分にもよくある。そんなことを思い出しながら読み進めると、自分の仕事のやり方を見直さなければならない思いに駆られた。

確かに彼には魔力ともいうべき求心力があると思うが、決して周りが彼を支えているわけではない。失敗したとき、不可能なとき、誰もがあきらめざるを得ない状況下でどう交渉するかで結果が大きく変わる。常人の心構えでは自分の望む交渉に話を運ぶことは不可能だ。そこに彼の哲学が存在するようだ。

本書の章ごとのタイトルをあげる、、、、

・「言い方」は「言い分」より交渉を支配する

・弱い味方は潜在的な敵方である

・妥当な案より「不当な案」 で交渉を動かせ

・最善の説得術は棍棒でたたくことだ

・楽観は考えなしだが、悲観は能なしだ

・失敗と思わなければ決定的失敗ではない

衝撃的なタイトルに見える。また、作者はテーマとして「この『やり口』には逆らえない!」と書いている。常人では考えられないような突拍子もないような行動をすることで次々と交渉を成立させていく様をわかりやすく述べたのだろうが、逆に自分は納得する内容だった。情報をいかに支配するか、温情の使い分け、守るときと攻撃するときのタイミング、緩急の判断。保守的になってしまいがちな僕ら凡人は、事柄がいい方向に傾くように(悪くいえば楽なほうに)することだけを考えてしまいがちだが、結局楽な道を選ぶことが、単なる失敗が取り戻せない失敗になってしまったり、大きな売り上げになるはずが大きな負債を抱えることになってしまう。楽じゃない方向に進むことは大きなリスクを伴うわけだが、物事を冷徹に考えたときに最も重要で必要なことを一つ絞り出すということをしてみると、確かにリスクを超えた必要性が見えてくるし、彼の行動も理解できる気がする。

この本を読んでいてもう一つ感じたことは、「自分の価値」という言葉だった。

「会社経営では時には従業員を解雇しなければならないようなつらいこともあるが、そんなときこそ自分が何者で自分の価値が何であるかがわかる。

会社を売れば儲かるかもしれないが、それによってもっと価値あるすばらしい経験をすることを拒否してしまっているのではないか。」(一部編集して引用)

自分の価値は見失いがちだ。でもビジネスではそれを見失ってはいけないと思った。それはアイデンティティーだとかそういう精神的な理由ではなくて、交渉を自分に有利に働かせ、ひいては成功させるために必要な要素だからだと。

【書籍】神の交渉力” に対して2件のコメントがあります。

  1. SAQ より:

    間違いなく現代のカリスマの一人だよね。
    やることがイチイチかっこいい。
    オレはコレを見て、信者の気持ちが少しわかりました。
    ってか素直に感動したし↓
    Apple創始者・スティーヴ・ジョブスの伝説のスピーチ(動画)
    http://jp.youtube.com/watch?v=qQDBaTIjY3s
    スティーブ・ジョブスのスタンフォード大学卒業祝賀スピーチ(原文)
    http://sago.livedoor.biz/archives/50251043.html

  2. yuichiro ikeda より:

    そうだね 僕もこのスピーチには本当に感動したよ いつももってるiPodに映像と本文を入れて歩いてるよ
    ある意味すっと入ってくる言葉だけど、そのことを思いながら毎日を過ごし続けるってことはほんとに大変なものだと思うよね
    そういう部分も彼の求心力の源なのかもしれないね

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