沖縄の先例
昨日(5/11)のTBS「News23」で韓国の在韓米軍再編の様子が放送されていました。
そもそも昨日は、防衛庁の額賀長官と沖縄県の稲嶺知事の会談があり、普天間基地等の移設など在日米軍、特に在沖米軍の再編について、政府案で合意したというニュースが各新聞トップで報じられました。各紙とも合意した政府案や今までの経緯などを記事にしていましたが、唯一News23での報道は違っていました。
極端に言えば国と沖縄県は合意していないという報道でした。なぜか。稲嶺知事は記者会見の場で、記者からの「V字型の滑走路建設ということで合意したということでいいんですね?」という質問に対し、「いいえ違います。」とはっきり否定している。「政府案を基本として、つまり辺野古に代替へリポートを建設するという案をベースとしてこれから話し合い等検討するということです。」と説明していた。
つまり報道各社は沖縄県が国の方針に合意したとしたが、実は沖縄県は国の方針の基本としてこれから内容を検討していくとしただけということなのです。これじゃあ、全く報道内容が逆ですわ。
ちなみに、「じゃあ、要は反対しているってことか」ということですが、はっきりはいえませんが国との決定的な決裂を避けるために、戦略として政府案を基本とすることに合意せざるを得なかったということでしょう。防衛庁幹部と、沖縄県の意見は真っ向から食い違っていました。
そんな報道のあと特集として取り上げられたのが、韓国に駐留するアメリカ軍の再編問題でした。韓国では日本より一足早く2年前から在韓米軍の再編が始まっており、48に散らばっていた米軍施設を統廃合して16にまで再編する計画がすでに実行されています。(正確に言えば、日本の報が再編は早かったけれども、完全に座礁していたので実質動いていない)
そのなかで、再編に伴って基地が拡張され収容されてしまった村(ソウル市の南にある村)が取材されていました。その農村では、当初から農民の反対運動が大規模に展開されていたのですが、なんとこの村は、日本の植民地政策により一度、米軍の進出で一度すでに2度も土地を奪われてきた場所なのです。つまり今回の接収で3度目となるのです。
国の収容行動にも負けず農作業をしてきたものの、結局5月初旬に韓国軍の強制収容により、いまどき鉄条網とブルドーザーを使ってついに土地が奪いあげられました。
この話、沖縄の先例として十分に学ばなければならない話なのではないかと思います。韓国のように荒々しい攻防戦が繰り広げられるのかは別としても、一度基地とされた場所は、二度と生き物が住めなくなると言っても過言じゃありません。確かに基地があることで、周辺の町には多額のお金が支払われることになるわけですから、経済としては成り立つかのように見えます。でも、15年という使用期限付きで基地が奪い取られたら、どんなに15年後きちんと返還されても、ただ足を踏み入れることができるだけの場所(もしかしたらそれもできないかもしれないけれど)に成り下がるだけ。今の自分たちの選択は将来の自分の子孫たちすべてを代表する選択であることを肝に銘じてみんなで考えていかなければなりません。