デジタル画像を巡る戦い
いま、デジタル画像を巡る戦いが熾烈を極めている。
現在報道されている大きな案件では、アドビ、アップルコンピューター、マイクロソフト、ニコンがある。
アドビは、Photoshopのメーカーとして有名だが、今年の夏頃に向けて新たなソフト「Lightroom」を開発中だ。このソフトは、主にデジカメで撮影されたRAW画像(簡単に言えばJPEGに変換する前の、生の状態の画像。高級カメラでは通常この画像が生成される。)を扱う目的で開発されておりPhotoshopと違い、ペイントしたりエフェクトをかけることはできない。だが、大量の画像を「ライトボックス」の上で並べてみるようにして、必要な画像を選択、色補正をして現像する一連の操作が簡単になるようになっている。
一方、ニコンも「Capture NX」と「Nikon View Pro」を開発中。違うソフトだが、目玉はやはりアドビと同じRAW現像ソフトだ。2月21日発売予定だったら、開発の遅れから発売を延期している。
そもそも、争いの口火を切ったのがアップルコンピューター。昨年の10月20日。米アップルはRAW画像現像ソフト「Aperture」を発表した。アップルのユーザーは今までデジタル画像といえばPhotosopがあり、それが業界標準となっていた。しかし、Photoshopはデジタル画像の現像専門のソフトではなく、あくまで一機能でしかなく、非常に高価なことと余計なりソースを食う。まったくRAW現像しか行わないユーザーには機能が多すぎるのだ。そこで、RAWの選択・閲覧・現像に特化したソフトとして価格を押さえて発売された。さらに、同ソフトは4月13日にバージョン1.1が公開され、価格が1万円程度と大幅にパフォーマンスを上げてきた。既存ユーザーにはなんと返金までされる。
その後、アドビが「Lightroom」のベータ版を公開、ニコンへと続いている。
一方で、Windows陣営は、次期WindwosOS Vistaの開発が進んでいる中で、搭載予定の画像機能についてのプレビューがあった。特段大きな特徴があるわけではないが、画像の閲覧や検索がずいぶん簡単にできるようになるらしい。画像は文字ではないからそのままでは検索できないが、メタタグという情報を含めることで検索することが可能になる。
ちなみに、「Lightroom」を開発中のアドビだが、今日次期Photoshopの開発について言及があり、来春発売ということになった。次期バージョンに搭載予定の機能の詳細についてはあまり言及されていないが同ソフトのユーザーの半分を占める、Macユーザーへ対応を進め、Intel版Macへの対応がはかられる予定だ。
最近キャノンのデジカメを買って思うが、実に性能がいい。おかげで、ほとんど補正がいらないくらいの画像が撮影できる。一方で、ある程度失敗が許されない写真を撮るユーザーにとっては、RAW画像はあとから修正がかなりきくため(JPEGはほとんど無理)、ユーザーは増えている。同じ会社の中でも、RAW特化とオールラウンドとソフトを分けるくらいだから、ベンダーもユーザーもソフトをきちんと選ぶ必要が出てきそうだ。