著作権は保護されるか?
最近あまりに忙しかったため、更新が完全に滞っていました。
まだ納まったわけではないけれど、すこし時間もできたのでたまったエントリーを少しずつ
まずはiTunesネタ。
米Appleコンピューター社のハードディスクミュージックプレーヤiPodでのみ再生できる音楽ファイルのネット配信サービス、iTunes Music Store(以下iTMS)というのが音楽市場の力関係を変えていますが、最近また新たな問題が出てきて、話題を呼んでいる。
iTMSはサービス開始から数年で10億曲の販売を達成し、ネット配信形態の音楽配信サービスとしては世界最大かつ圧倒的な販売力を持ちます。しかし、iTMSで販売されている音楽は同社のiPodでしか再生できない特殊な形式で、それを緩和すべきだという動きがフランスで強まっているのです。
しかも裁判ではなく国会で。
フランス国会の下院は、iTMSで販売されている楽曲がiPodでしか再生できないのは不当な市場の独占であり、ただちに他のプレーヤでも再生できるようにすべきだという議案が可決してしまった。これから上院での議論が進む。
ここで問題になるのは2点ある。
一つは、iTMSで販売されている楽曲をiPod以外のプレーヤーでも再生できるようにすること。
もう一つは、販売された楽曲にかかっている再生プロテクト(iPodでのみ再生できるような特殊な暗号化がなされている)を解くソフトウェアの使用を認めるという点だ。
前者に関しては、まあまかり間違ったらこんなこともあるだろうが、それほど問題ではない。Appleが折れればいいだけだから。
でも、2点目に関しては大変なことだ。
音楽のデジタル化して聞くことがはやり始めた初期の頃、市販のCDをパソコンに取り込み、MP3(デジタル)化して勝手に(無償で著作権を無視して)ネットで取引されることが問題となり、CDのコピーコントロール技術などが開発された。そんな中で、Appleはあえて料金を取り、ネットでデジタル音楽を売るiTMSを開始して、大成功を収めた。iTMSで販売された音楽はiPod以外で聞けないのはもちろん、買った本人でないと再生できない他、購入に利用したパソコン以外に4台までしか再生ができないようになっている。つまり、事実上のコピーコントロール。これによって、音楽家の著作権を正当に守っている。
フランス国会の決断は、これをまたもや覆すことになってしまうのではないかと思う。芸術の都を抱えるフランスがなぜここまで著作権問題を軽視した行動に出るのか少し理解しがたい。
ただし、iTMSは国ごとに別々のネットワークが構築されているので、もしフランスがこのような行動に本当に出たら、フランスでのiTMSだけを閉鎖しかねないとしている。全世界の売り上げの2%程度だということだ。