これからの研究開発
結局磁気とICはどっちなの?といわれてもこれはほんとにわからない。
日本でおそらく最初にICカードが広まったのは、NTTの公衆電話だったと記憶している。それまで、テレホンカードの偽造が後を絶たず、高額カードの発行を取りやめていたが、根本的な対策としてICカード型公衆電話機の導入が進んだ。
しかし、携帯電話の急激な普及を背景に、IC型公衆電話の利用は落ち込んだ。もうすこし携帯電話の普及が遅ければ一般にICテレホンカードの存在が認識され、もうすこし利用が伸びた可能性はあるが、IC公衆電話が普及した時点で公衆電話離れは相当進んでいたので、認識自体が少ないはずだ。 IC型公衆電話は今年3月末までに姿を消す予定だ。(プレスリリース)
一方、キセル乗車やカードの偽造が耐えない、鉄道や高速道路では料金の支払いに積極的にICカードが導入され、普及は進んでいるようだ。JRのSuica(Super Urban Intelligent Card)は1100万枚以上発行され一日の電子マネー利用件数は10万件を超えている。カード一枚あたり1日に1回の決済ならなんと110人に一人の割合で利用していることになる。ちなみにJRも発行していた磁気式イオカードをやめる。(プレスリリース)
また、首都高速や高速道路での通行料支払いに利用されているETC(Electronic Toll Collection System)も1050万台に搭載され、1日に400万台の利用がある。1日の総通行量の実に57%にも及ぶ。 ほかにもスキー場や物流の世界でも大いに利用されている。
確かに、ICカードは便利だ。カードに記憶できる情報量が桁違いだから、さまざまなサービスを受けることができるし、セキュリティーも高いため、サービス提供者にも、利用者にも安心度が高い。一方磁気式は偽造がしやすく少ない情報しか記録できない。内部の情報が簡単に読み取ることができる。ときている。 こういう比較をしてしまうと、明らかに磁気式に勝ち目はないが、それは所与の条件として「2006年の日本」が与えられているからではないだろうか。この条件が「2050年の日本」に変化したとき、今のICカードなんて何の役にも立たないものに違いない。 そんな考え当たり前ジャンと思うだろうけど、本当にみんな認識しているだろうか。
すべての今の技術は未来において廃れる。それは、基本となる技術の上に成り立っているだけだから。 本当に新たに発見される技術は今はないと考えていい。いまさら「ゼロ」を発見する人もいなければ重力を発見する人もいない。誰もが常識として考えていることをベースに人間は発達してきたのだから、これからの技術も今をそして昔をベースとしている。 正直、ICだろうと磁気だろうとどうでもいい。社会の利便性追求の中で残るべきものが残るだけだ。でも、それは年を経るに従い変化する。利便を追及するための研究開発ではない、ことの真理を追究する研究開発を行っていかなければいけないと思う。