ライブドアの有価証券報告書
市場では相変わらずライブドアショックが続いているようですが、仕事柄そのこと事態に一喜一憂しても仕方ないので、IR面でわかることについてエントリーしようと思います。
ライブドアの有価証券報告書から分かることを2つ。(ライブドアは9月決算のため、有価証券報告書。フジテレビは3月決算のため、半期報告書を参考にした。)
1.ライブドアの大株主は、社長の堀江氏、フジテレビ、外資...と続きますが、フジテレビの持株数は、133,740,000株で、比率にすると実に12.75%。同じく有価証券報告書記載の過去6ヶ月の株価の数値を参考に、1株あたり500円で取得したとすると、668億7千万円也。
ちなみに、フジテレビの9月末時点での純資産額はおよそ6,900億円。すると、実に占める割合が1%にもなるのです。これがもし、ほんとうにライブドアの上場廃止を招き、株券が紙くずと化したら、フジテレビは資産1%をなにもせずに失うこととなり、特損700億ということになります。
2.もう一点。
会社の同期に言われて気づいたんだけど、今回の東京地検の強制捜査は少なくとも、株価操縦による証券取引法違反の疑いだといわれていますが、報道されているようにライブドア本社が係る粉飾決算があったとすれば、これを監査していた監査法人にも飛び火する可能性があります。飛び火というかむしろ疑いの目が向けられるというか。
今の企業監査ではリスクアプローチという手法がとられていて、すべてを監査することは不可能であり、またどんなに監査をしても間違いは0(ゼロ)にはならないという前提のもと、会社の状況や取り巻く環境などさまざまなバックグラウンドを基に、被監査会社が財務情報を偽るリスク、監査人が看過するリスク、内部統制上虚偽記載を発見できないリスクなどのリスク度合いを測り、その度合いによってどれくらいの制度で監査をするかを決める方式です。監査人には、一定の正しい監査手続きを行っていればたとえ監査会社に関する粉飾決算が発覚しても、罪をかぶせられることはありません。
ですが、罪がかからないだけで、嫌疑はかけられるはず。
今はまだそんな報道は見ないけれど、やはりいつかは問題になると思う。
で、前期末の有価証券報告書の監査を行ったのは、横浜にある港陽監査法人。
ちょっと聞かない名前ですが、ちゃんと連結も個別も監査を行っているので、ホリエモンの進退や市場の混乱が一段落したあたりで焦点になるでしょう。
もしかすると、いわゆる4大監査法人ではないから、あまり話しに上らないだけなのかもしれないけれど。
あと、せっかくだから、有価証券報告書というものを見たことがない方のために、ライブドアの有価証券報告書をリンクしておきます。
いまは、EDINETという電子開示制度が整ったので、HPとなんら変わらない感じですが、それでも一部は昔の厳格さが垣間見られるのでは。
ライブドア平成17年9月期連結有価証券報告書