京都市内住所のあれこれ

最近住所を頼りに京都の町で目的地を探さなければならないことがあって、ホントに苦労しました。その教訓から、そしてせっかくだから日本人ならしっとかなきゃということで、京都市内の住所についてあれこれまとめてみることにしました。

知っている方はたくさんいるとは思いますが...

二重住所

そもそも京都の住所の表記には二つあるそうです。1200年前から使われている通り名を基準にした住所(地番表示)と、○町○丁目○番○号(住居表示)が存在するというのです。ワケはあとで書くことにしますが、どちらでも正しい表示ですが、京都市は地番表示を採用しているため、市役所等で住民票を取ると地番表示で記載されているそうです。ただし、地番表示が行われているのは京都中心部のみで、郊外では住居表示なのだそうだ。



上下東西

そもそも、京都で使われている住所はどんなものかを、具体例を挙げながら説明してみましょう。

「京都市中京区寺町通御池上ル上本能寺前町」

これは、京都市役所の住所。

京都市中京区まではいいのですが、そのあと「寺町通御池上ル」と「上本能寺前町」が問題です。

前者が京都人以外の人にわかりにくい通り名での表示の部分。これは、通りの名前を2つ合わせて交差点を表し、その交差点からどちらに行ったところかで住所を表します。

 上ル(北側に入った場所)

 下ル(南側に入った場所)

 東入ル(東側に入った場所)

 西入ル(西側に入った場所)

といった具合です。

ただこれでは恣意的になってしまってどこを基準にして東西南北なのかわかりませんよね。それは、天皇の視線で内裏から平安京を見たときの視線で判断します。ですから「上ル」「下ル」も、地図上で交差点から「上に行く」「下に行く」ということではなく、内裏に近い方が「上」なので、内裏に近づく方向を「上ル」、遠ざかる方向を「下ル」というそうです。

だから京都駅から見て西側(左側)の街が「右京区」と東側(右側)の街が「左京区」となるわけですね。ただし、あくまでも天皇のいた時代の内裏ですから、平安京の大内裏の場所と言うことになりますので、現在の京都御所の場所とはだいぶちがうようです。

話はそれましたが、後者は実際の町名です。

合理性

ややこしいとは思いますが、少し考えてみると、とても合理的な表示の仕方だと思います。

最大の長所は、初めての人でも地図がなくても目的地にたどり着くことができると言うこと。町名や番地というのは地図の中から探して、その行き方を探して...という具合で地図がない状態で行くのは結構厳しいものがあります。一方で、地番表示方式にしていると道の名前と場所さえ覚えていれば京都中どこでもいつでも、はじめてでも必ず目的地にたどり着くことができると言うことになります。

理由

こんな状況になったのには当然ながら理由があります。もちろんそもそもそういう文化であったということや、町の作りが碁盤の目のようになっているなど地理的な部分も大きい(これが理由で碁盤の目になっていない郊外は住居表示になっている)のですが、それ以外にも、

1.京都市内の町名は、他の区域のように一つとは限らないためどこのことだか特定できない

2.一つの町が非常に小さく数がとても多いので、通り名で特定する方が合理的で確実

ということだそうだ。

でも、この考え方は日本では非常に珍しいけれども、海外の多くの場所で採用されている考え方ですよね。NYだってそうです。

自分の標準・基準がなんなのかとても考えさせられる一件ですね。もし何か他にも書き足すことがあれば随時書き足していくつもりです。

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