【映画】料理人 ガストン・アクリオ

料理人をテーマにした映画は好き。

「大統領の料理人」「幸せのレシピ」「南極料理人」「レミーのおいしいレストラン」「ファイティング・シェフ」「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」「ジュリー&ジュリア」「武士の献立」。。。お話しもあれば、ドキュメンタリーもあるが、今回の映画はドキュメンタリー。

料理人のドキュメンタリーとなると、やっぱりその料理人の哲学が大いに反映されて、面白さが料理人で決まると言っても過言ではないと思っている。その点で、実は当たり外れが大きいとも言えるから、ガストン・アクリオを知らなかった僕には賭だったわけ。

結論からいうと非常に驚いたというか、今の自分にとても強烈に刺さった。

 

食を通してみるペルー

彼は、料理人である前にペルー人であることをとても重視している。ペルーは決して裕福な国ではなく、多くの貧しい農民で支えられている。政治家の家庭に生まれたこともあるだろう、彼はペルーが置かれている現状をストイックなまでに意識している。貧しいから所謂高級なフレンチを食べられる人は一握りの人だけ。でもペルー人はみんな食べることがなによりも好きだというところから、食を通して、ペルーを救いたいと思っている。

昔は自分が身につけた技術は、国に返すという形で恩返しするという考え方を、日本人もしていたように思うが、あまり最近は聞かない。

彼にとってレストランのランキング争いは、ペルーを世界に知ってもらう場であり、自分が名声を独り占めするためではない。

ペルーは考えてみれば複雑な歴史をたどっている。欧州からもアジアからも距離があるのに、世界中から移民を受け入れてきていて様々な文化や料理が融合している国だ。フレンチの本場で修業を積んだ彼がペルーの料理を世界に受け入れさせたひとつの視点は、どの国の料理でもあり、あくまでペルー料理だと言うところではないかと思う。

 

料理に対する想い

素材をよく見ろとよく言う。僕も料理が好きだから、そのことは意識しているつもりだった。でも彼にとっては全く違った。目の前の素材すべてに命があり、それを採取するところでも命をかけている人がいる。だから、最もその素材が活き活きとする料理を見出すことが料理人の使命だというのだ。

目的の料理という目的地が見えている中で、どのように扱うかではないのだ。

よく素材を吟味するという言い方をするけれども、食物連鎖の頂点にいる人間には本来、自分自身の食の将来を守るためにも必要な命を頂き、無駄にしないという意識を持たなければならないはず。でもそのことをひとつでも忘れてしまうと、食はすべてを食べていないことになってしまう。

 

誰かの行動に敬意を払って、自分の国の幸せのために働くということ。本人はきっと苦労の連続なんだと思う。でも、本当に輝いて見える。すばらしい。

2016-04-20-gaston_movie

料理人ガストン・アクリオ 美食を超えたおいしい革命
http://eiga.com/movie/81195/

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